オオサカジン

ビジネス ビジネス   | 大阪府

新規登録ログインヘルプ


スポンサーリンク

上記の広告は、60日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  
Posted by オオサカジン運営事務局 at

2021年07月09日

NITE-CHRIP:NITE(製品評価技術基盤機構)

独立行政法人製品評価技術基盤機構は、通称、NITE(National Institute of Technology and Evaluation)と呼ばれています。NITEでは、製品安全分野で消費生活用製品の事故情報を収集し、製品の事故原因分析やリスク評価を行い、広く製品の事故情報やリコール情報を我々一般市民に公開して注意を促しています。またこのような分析・評価の知見を活用して、社会に安全な製品が提供されるように、JISやIECなどの規格を作成する提案を行うなど安全・安心な社会の実現に貢献しています。またこのような知識、知見を事業者に提供することによって適切な製品づくりを支援しています。一般の消費者は、製品の機構、構造や電気回路などの安全上の問題の周知を受けて、該当する製品に注意することができます。

このように大変重要な社会的な役割を担うNITEですが、製品安全分野だけでなく、化学物質管理分野でも活躍しています。化学物質が人体や環境に悪影響を与える恐れがあることは古くから知られていることであり、特にそのような悪影響を及ぼす可能性があるものはリスク評価を行う必要があります。事象者が新しい化学物質を製造、輸入する際、その化学物質は事前にリスク評価を受けることが「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(通称、化審法(かしんほう))で義務付けられています。NITEは事業者からの届け出に基づき、このリスク評価を行っています。具体的には、定量的構造活性相関(QSAR)という化学物質の構造と有害性との相関関係を予測する手法を活用するなどして適切な評価を行っているそうです。

事業者は、化学物質の安全性について専門的な知識を常に豊富に持っているわけではありません。そもそも化学物質に関する法令を遵守できるようにするためには様々な知識が必要になります。このため、NITEは、化学物質の安全情報や関連する法令の情報を提供するためにNITE-CHRIP(ナイトクリップ)というサイトを開設しています。
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/systemTop

NITE-CHRIPは、NITE Chemical Risk Information Platform「化学物質総合情報提供システム」の略称です。化学物質から、どのような分子式、化学構造なのか、また関連する規制対象となる国内外の法令や安全データシートなどを簡単に調べることができるので、その化学分室に有害性があるのか、またどのように取り扱う必要があるのかという知識を取得することができます。事業者が製品事故を社会に引き起こさないようにこのようなデータベースをしっかりと活用して法律の遵守と、化学物質を取り扱う現場の安全性の確保を徹底してほしいと思います。
  

Posted by スーさん at 22:37製品評価技術基盤機構

2021年06月18日

機械安全知識とリスクアセスメント:キーエンス

機械安全については安全規格があり、ヨーロッパでは安全に対する技術の関心が高いため、世界の中でも早くから規格が整備されてきました。日本では労働安全衛生法がありますが世界的には、機械安全に関するリスクアセスメントとリスク低減の進め方に関する国際規格があり、ISO12100という規格で機械安全について制定されています。

リスクアセスメントは、製品安全の分野では常識的な考え方でありますが、これを適切に実施して、適切に機械とひと・管理面で対策を打つことは非常に難しい高度な技術です。ISO12100では、危険源を見つけ、それを除去するための3ステップメソッドという考え方があり、このような安全設計を行うための体系的な考え方を提供しています。

しかし、規格を読むのは大変苦労します。キーエンスの安全知識.comという以下のサイトではこのリスクアセスメントと3ステップメソッドの考え方が具体的な事例も含めて分かりやすく説明されています。

https://www.keyence.co.jp/ss/products/safety/knowledge/

安全設計はやみくもに何か効果がありそうなことを取ればよいということではありません。事故が発生するメカニズムをリスクアセスメントで正しく把握し、そのメカニズムが引き起こされないように、本質的安全設計、安全防護、使用上の情報の考え方を順序良く適用して適切な保護方策を取ることで残留リスクを許容できるレベルに下げるということを体系的な思考に基づいて行うことが重要です。

これをきちんと行うためには安全技術に関する設計や機器に関する個別の知識も必要です。これについても関連する安全規格があり、それぞれの知識を生かすことができます。機構、構造などのハード面の設計だけでなく、ハード制御、アラートなどソフト面の設計も重要です。またひとの操作、運転の管理、教育というひとに対する設計も欠かせません。安全を担保するための知識、技術を身に着けて実行することが重要です。  

Posted by スーさん at 22:32キーエンス

2021年06月17日

労働災害統計:厚生労働省

厚生労働省に、職場のあんぜんサイトというものがあります。そのなかで労働災害統計が以下のページで公表されています。

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/toukei_index.html

毎年の労働災害統計がExcelのファイルにまとめられており、毎年死亡災害でお亡くなりなった人の数がわかります。

例えば、令和2年(1月~12月)では全産業で802人となっています。参考までに同じ令和2年における交通事故での死亡者数が2839人です。交通事故に比べて死亡者数は少ないですが、そもそも仕事中という前提であり、また危険な仕事という現場は限られているということを踏まえると、危険な仕事に携わっている方にとっては必ずしも少なくない数と感じられると思います。特に製造業と建設業だけで全体の49%(約半数)を占めていることからも、これらの業種では安全第一が重ねて求められていることがわかります。

死亡原因として一番多いのは、墜落・転落です。高所での作業はどうしても命に関わる仕事になります。なぜ墜落・転落が起きてしまうのか、その原因は現場ごとに異なると思いますが、その特徴をきちんと抜き出して、知見として纏めることができれば、おのずと新しい事故を防ぐことができるはずです。

現場では当然、墜落・転落を防ぐ基本的な対策は、建築物や設備の構造や運転の方法において取られているはずです。現場の方も当然、経験・知識があり、危険について十分に理解されていると思います。しかしそれでもなお墜落・転落を引き起こす誘因のようなものがあり、それが生じると雪崩が起きるかのように墜落・転落に向かってメカニズムが動き出します。東日本大震災の後、福島第一原発事故がおきましたが、この原発事故も当然、事故防止策は多様に取られていました。しかし地震と津波という原因が発生すると、その後、本来事故が生じるメカニズムを止められる対策があったにも関わらず、それが有効に働かず結果的に事故に向かったすべての現象が動き出しました。

事故を防ぐにはこのようなメカニズムの構造をきちんと把握し、現象のつながりを知識、教訓としてまとめることがとても重要だと言えます。そしてそれを予測することができるかどうかが鍵になります。労災事故を未然に防ぐための考え方と活動の指針の体系化と普及が望まれます。  

Posted by スーさん at 22:17厚生労働省

2020年11月07日

東京外かく環状道路(外環道)工事現場近くで道路陥没:NEXCO東日本

東京都調布市の東京外かく環状道路(外環道)のトンネル工事現場近くの地上で2020年10月18日に道路陥没などの被害が発生しました。

原因は現在調査中で不明ですが、外環道のトンネル工事が地表から深さ47mの箇所でシールドマシンを使って16mのトンネルを掘り続けていたことが関係しているのではないかと考えられています。

道路のトンネルですから、とても大きな穴をあけることになりますが、地表から深さ47mというと、とても深い位置にあるので、構造物としては特に地表の住民の許可を得る必要がなく、穴を掘り進めることができるものだそうです。しかし、なぜそのようなことができるのか、土木建築構造の技術としての理由付けが必要だと思いますが、今回は少なくとも現在の規定では地表の住民に迷惑がかかることが分かったわけですから、十分に原因を調査して再度正しい規定をつくってほしいと思います。

特に11月4日の報道では、陥没発生の現場近くで巨大な空洞があることが見つかったそうです。その規模は、なんと、長さ30mで空洞の高さは3mにもなるそうです。しかもそれは地表から5m程度の位置だそうです。いくら47m下のトンネルとはいえ、その上にこのような空洞があれば、当然、その土地の強度は構造的に弱いはずで、トンネルの掘削の振動を受ければ、空洞が崩れて、地表に新たな陥没ができてもおかしくないと思われます。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/66377

この空洞がシールドマシンによる掘削の振動によってできたものなのか、そうでないのかも現時点では不明とのことですが、もし、シールドマシンの掘削が原因で空洞が生じたのであれば、この掘削工法の技術をもっと高めていかないと、いくら地上から深い位置であっても、陥没のリスクが生じかねないと思います。原子力発電所が津波を受けてブラックアウトした時もそうですが、想定外だったという話で終わらせてはいけない内容であり、そこからどのような知識を得て、生かしていくのかが大事だといえます。

今回の陥没事故の調査結果から、シールドマシンによるトンネル工事技術の知識を整理して、今後の工事に生かせるようになることを期待したいと思います。
  

Posted by スーさん at 13:08NEXCO東日本

2020年11月06日

旧米軍施設「小柴貯油施設跡地」地下タンク重機転落事故:横浜市

横浜市にある旧米軍施設であった小柴貯油施設跡地の公園造成地において、土砂の仮置き作業をしていた男性作業員が重機ごと地下タンクに落下するという痛ましい事故が発生しました。事故は2020年8月25日午後4時15分頃に発覚しましたが、当時のタンクの上には草が青々と生い茂り、タンクが下に存在することは目視ではあまり確認できない状況でした。またタンクには蓋がありましたが、重機はその蓋ごとタンク内に落下した模様です。タンクは直径約45m、深さ約30mと非常に大きなもので当時、雨水が深さ9mほど入っていたとのことです。

神奈川県警の発表では、作業員の死因はタンク内の水を吸引したことによる窒息死だったとのことで、ご自身も突然何が起きたのかわからないまま、お亡くなりになったものとお察しします。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

なぜこのような事故が起きたか?その原因をはっきりさせて再発を防がねばなりません。そもそも、この公園は2032年度に全面オープンする予定で、横浜市が公園造成を業者に依頼しているものです。しかし報道によると、9月25日の横浜市議会で、横浜市の市職員が工事受注業者側に示した図面にタンク跡の位置が明記されていなかったことが明らかになりました。

https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/243000c

横浜市は、その現場がタンク跡地であることを踏まえ、工事業者にタンク跡の位置を通知するのは、土地所有者として当然のことのように思います。詳しいことは不明ですが、安全管理上のチェックが十分にできていなかったことは明白で、本来防ぐことができた事故といえます。

タンクに限らず、側溝などの穴があり、蓋やカバーで覆われていて、落下の危険がありそうな構造の土地や建築物の上を、ひとや重機が通過する場合には十分な注意が必要です。今回のタンク蓋の構造や強度がどのようであったかはわかりませんが、そもそも重機の通過は想定されていないと思います。

工事に関するリスクアセスメントが関係者の間で十分にできていなかったのでしょうね。少しでも安全管理の意識や知識があれば、危険が現場で正しく理解されていたと思います。横浜市、業者双方において、責任の押し付け合いをせず、真摯に原因を分析して、横浜市に限らず、古い施設が残っている土地に対する工事における注意点として、公共事業の教訓にしてほしいものです。自治体は土地所有者としての意識が低いように思います。  

Posted by スーさん at 22:33旧米軍施設

2020年07月29日

三菱スペースジェット:三菱航空機

三菱重工業は、日本の悲願である国産ジェットの開発を2008年に開始し、その旅客機の名前を「MRJ」と名付けました。MRJは開発が進みましたが、試験やテスト走行時に度重なるトラブルが発生し、開発が遅延し、失敗プロジェクトの代表のようになりました。その後、名前をMRJから三菱スペースジェットに変えて、最大市場の北米のニーズにマッチさせたかたちで開発を進めています。飛行機の設計は三菱重工業の子会社である三菱航空機が行い、製造は三菱重工業が行っています。
https://www.mitsubishiaircraft.com/ja/spacejet

新型コロナウイルス感染が世界的に広がりつつある2020年3月に三菱スペースジェットの飛行試験10号機が県営名古屋空港を離陸し、2時間程度の飛行試験を無事に終えて同空港に戻ってきたようですが、まだまだ不具合があるようです。

夢を乗せた国産ジェットは今後どのような姿を私たちに見せてくれるのでしょうか.新型コロナウイルスの感染拡大は、航空業界の業績に影響を与えている様子で、特にアメリカでは甚大な影響があるそうです。このプロジェクトは赤字続きですが、このような状況で納期やコストを優先して一番心配になるのが重大な安全性に関する欠陥です。先日紹介したボーイング737MAXも安全性よりも納期が優先されたことが指摘されています。国産ジェットの安全性は大丈夫かと疑ってしまうような流れで開発、製造が進むのではなく、圧倒的に安全性、信頼性が保証されている状態で市場に羽ばたいてほしいと思います。

ウィズコロナの時代に入りましたが、逆に今開発しているジェット機だからこそチャンスと捉えることもできるのではないかと思います。例えば、空調などの感染症対策も従来機よりも良いものにすれば、もっと市場も広がるのではと思ったりします。三菱スペースジェットは正念場だと思いますが、ぜひプロジェクトを成功させてほしいですね。  

Posted by スーさん at 22:42三菱航空機

2020年07月28日

737MAXの墜落事故と生産再開:ボーイング社

ボーイング社の737MAXは、同社が開発する機体のなかでは小型機に属するものです。この飛行機は、インドネシアのLCCであるライオンエアが使用していましたが、2018年10月29日にインドネシアのジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港を離陸した直後に墜落して、乗員乗客全員189人が死亡しました。

また、737MAXはエチオピア航空でも使用されていましたが、2019年3月10日、エチオピアのアディスアベバのボレ国際空港を離陸した直後に墜落し、乗員乗客全員157人が死亡しました。

この737MAXは、737の従来機と異なり、エンジンを大型化し、エンジン取付け位置を変えたために、飛行中に機首が上がりやすい傾向がありました。そこで、これを検知して、機体を降下させて失速を防ぐために、自動失速防止システム(MCAS)が実装されていたのですが、この制御ソフトに欠陥があり、機首が上がり過ぎていると誤判断して、機種を下げる制御をかけてしまう場合があり、パイロットはこのMCASを遮断する方法も知らされていなかったために、対処できずに墜落したそうです。

昨今、飛行機も自動車も制御システムが高度化していますが、これを操作するパイロットやドライバーが適切に制御システムを理解するガイドがメーカ側に欠けているのではないでしょうか。この事故についても、パイロットはボーイングからMCASの制御システムについて知らされていなかったそうです。ボーイング社は不必要に細かい制御をパイロットに伝える必要はないと判断したそうですが、この時点で安全に対する考え方が全く間違っているといえます。

機体が異常な状態に陥ったときに最後に乗客の命を救うのはパイロットです。(車ならドライバーです。)そのため、最後は制御システムによる自動化をオフにしてでもパイロットが飛行を続け、無事に着陸させる方法がなければ意味がありません。ボーイング社は自社の複雑なシステムに埋もれて、製品安全の一番大事な安全を確保する方法の重要性を軽視していたと言われても仕方がありません。

この737MAXですが、当然その後生産停止になりました。しかし最近、ほとぼりが冷めたかのように、生産が再開されました。
https://www.aviationwire.jp/archives/203329

尊い命を多く失ったことから得た教訓を余すことなく、737MAXに反映されていることを祈るばかりです。事故を防ぐ技術や知識は、航空業界に留まらず、最近自動運転の話題に事欠かない自動車業界にも生かしてほしいものです。  

Posted by スーさん at 22:26ボーイング

2020年06月26日

運輸安全委員会の事故報告書

国土交通省の運輸安全委員会は、航空、鉄道及び船舶における事故・重大インシデントの原因究明を実施し、勧告や意見の発出、事実情報の提供などの情報発信を通じて、関係行政機関の長や事故等の原因関係者等に必要な施策又は措置の実施を求める組織です。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/jtsb/

運輸安全委員会の上記サイトには、航空、鉄道、船舶それぞれにおいて事故や重大インシデントに関する過去の報告書を検索することができます。報告書の内容は各事故やインシデントに対して詳細に解説されている内容ですので、出来事の経緯やその発生原因、再発防止の内容が分かりやすくまとめられています。

航空、鉄道、船舶それぞれ結果的に起きる事故の形は異なっていても、発生原因をみると結構シンプルな部品の故障であったりします。一つ一つの部品の機能や構造の設計や、部品の製造や保全の大切さを感じさせられます。

以前、医療事故のヒヤリハット事例についても紹介しましたが、このような運輸安全委員会の報告書にまとめられている考え方を知識として新人教育や部内の勉強に生かすことができればと思います。発生した事象や原因の詳細は当事者のメーカや分析機関でないとわからないこともありますが、事故を防ぐための考え方は報告書を読むだけでもとても参考になります。  

Posted by スーさん at 21:02運輸安全委員会

2020年06月25日

横浜シーサイドラインで発生した鉄道人身障害事故

2019年6月1日に横浜シーサイドラインの横浜シーサイドライン新杉田駅で鉄道人身障害事故が発生しました。具体的には自動運行システムで運行される列車(無人)が新杉田駅で本来の進行方向とは反対方向に逆走して線路終端部の車止めに衝突したという事故です。衝突時の速度が約25km/hとのことで、当時列車に乗車していた乗客25人のうち17人が負傷しました。詳しい事故調査報告が以下のサイトに紹介されています。
https://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/keika20200227.pdf

自動車の自動運転や衝突回避ブレーキシステムが実用化されて当たり前になってきている昨今において、昔から自動運行している列車が逆走して車止めに衝突するという話を聞いたときに、にわかに信じがたい話でありました。

報告書によると、列車の進行方向を伝える指令線の断線が今回の逆走の原因でした。また更に重要なこととして、このような断線が発生した状況において逆走を防ぐ対策がなされていなかったことが指摘されています。実際に車両設計において、車両の電線等の断線を前提としたハザードの解析が網羅的に行われていなかったそうです。

当事者はフェイルセーフなどの考え方は基本的に分かっているはずですし、機械や構造に故障が起きた時に何が起きるかというストールは知識として持っているはずですが、設計時にこういったリスクアセスメントを仕事のルールとしてしっかりと行うことが徹底されていることの大切さを再認識させられます。また、自動運行システムの導入当時に十分な解析ができていなくても、後に事の重大性に気づいていれば、事故防止のためのハザード解析を行うこともできたのではないかと思います。運行や使用が始まった後でもきちんとリスク評価を継続して行うことの大切さも感じます。

1993年に大阪市のニュートラムで暴走事故が起きましたが、横浜シーサイドラインの事故を受け、Osaka Metro(大阪メトロ)のニュートラムでは、回路の一部が誤動作しても逆走を防止できるシステムになっていることが確認されているそうです。(2019年7月19日付)
事故が起きた後に、行政が主導して、きちんと他の類似のシステムが正常であることを迅速に確認する仕組みになっていることはとても重要ですね。

概要:2019年6月1日に横浜シーサイドラインの新杉田駅で鉄道人身障害事故が発生しました。自動運行システムで運行される列車(無人)が新杉田駅で本来の進行方向とは反対方向に逆走。車両設計において、車両の電線等の断線を前提としたハザードの解析が網羅的に行われていなかった。
  

Posted by スーさん at 21:43横浜シーサイドライン

2019年12月05日

医療のヒヤリハット報告書:日本医療機能評価機構

医療事故が大きく取り上げられるようになったのは、1999年1月11日の横浜市立大学医学部付属病院の患者取り違えがきっかけであったように思います。刑事裁判まで行った有名な事件です。
あれから20年もたち、医療事故に対する関心や世間の視線の厳しさがどんどん高くなっていて、これは病院従事者の医療ミスを防ぐために、とても良いことだと思います。その一方で、人手不足が深刻化しているのも事実で、本当にミスを減らす環境づくりができているのかというと全く進んでいないようにも感じます。劣悪な環境だと医療に従事したいという志を持った若い人も少なくなりますよね。

このように、社会的な構造に問題があるように思いますが、それでも医療事故を防ぐ対策は強化しなければなりません。その一つがヒヤリハット報告書です。これは、日本医療機能評価機構から以下のWEBサイトで紹介されています。
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/contents/report/index.html

実際のヒヤリハットの事例やその事例の分析結果がまとめられていて、医療事故の潜在的な発生可能性をしみじみと感じられる内容になっています。
ヒヤリハット報告書から知識、教訓を整理して、各現場の勉強や教育に生かすことが狙いのようです。このようなヒヤリハット報告書を集計して、過去同じようなヒヤリハットがどの程度発生しているのか、分析すると面白いかもしれませんね。最近のAIなどを活用すれば、報告書の情報が構造化されて面白い知見が得られるかもしれません。
医療事故を防ぐための技術の研究がどんどん進み、手法や知識の体系化が進み、技術が実用化されていくことを期待したいと思います。日本医療機能評価機構のように情報を集めることは一番大切なことなので、ぜひずっと継続してほしいですね。  

Posted by スーさん at 21:52日本医療機能評価機構